10代で腰痛に悩んでいるあなたへ。マッサージや電気治療、シップや痛み止めで治ると思っていませんか?
子供の腰痛が多くなってきた気がします。
例えばこんなお話。
とある公園。
ベンチから立ち上がろうとしたお年寄りが、「あ、いたたたた・・・。」(腰をさすりながら)
そこへ子供が駆け寄ります。
「腰が痛いの?大丈夫?」
「おお、ありがとうね~。坊やは何歳かな?」
「6歳だよ!」
「そうかそうか、良い大人になるんだよ」
ひと昔前には、こんなやりとりがありました。心暖まるエピソードですね。
ところがいまでは、その子供達が腰痛になってしまう時代になってしまいました。
腰痛に悩む子供達を多く見かけます。
「あ、いたたたた・・・。」は子供達からも聞こえてくるのです。
巷の整形外科クリニックや接骨院、整骨院には中学生・高校生の姿もちらほら。そのうちの何割かはスポーツ等のケガではなく「腰痛」で来院するのです。
子供に忍び寄る腰痛の影
一昔前まで、腰痛は老化によって起こると思われていました。
しかし最近では学童期の子供にも腰痛が増えています。
10歳代半ばから、早ければ小学生高学年くらいまで。
部活やクラブ活動で腰を痛めたのでしょうか?
いいえ、そうとも限らないのです。
子供が腰痛になる理由①
理由は大きく二つあります。
一つ目の原因は運動不足です。
学校や塾など、長時間に渡り座っていることが多くなりました。夜遅く、仕事帰りのサラリーマンたちの姿に交じって、制服姿の学生たちを多く見かけます。近年では塾に通っていない子供を探すほうが難しいくらいです。
塾に通うことは今では特別なことではありません。
そして多くの子供たちが夜9時、10時まで学習塾で座って授業を受けているのです。
また、プライベートでもピアノ等々の習い事、テレビゲーム、スマホやパソコン・・・。
机にかじりついている時間の多いこと。
さらにその姿勢が悪い姿勢なら、間違いなく身体を悪くします。
外で遊ぶ機会も少なくなり、身体を動かすことは確実に減っています。
大人でもそうですが、運動不足では確実に体幹筋力が衰えます。
そして猫背でずっといることが腰部のストレスとなって腰痛が発症していると考えられます。
また、勉強等へのストレスも腰痛を多くしている可能性があります。
ストレスと腰痛の関係性についてはまた別の機会で。
子供が腰痛になる理由②
一方で、野球やサッカー、テニス等で元気に身体を動かしている子供にも腰痛はみられます。これがもう一つの理由です。
それは過剰かつ偏った運動によるものです。
最近では小さいうちから専門的なスポーツ教育をすることが当たり前のようになってきました。
小さいころから一つのスポーツに打ち込んでいる子供たちの姿をTVでいくらでも見かけます。ゴルフやフィギュアスケート、卓球にテニスにサッカー・・・。
これは決して悪い事ではありません。ただし考えて欲しいことがあります。
学童期は骨も筋肉も発達途中です。本来は様々な能力を伸ばすことが必要です。歩く、走る、バランスを取る、ジャンプする、ボールを投げる、木の棒を振り回す等々・・・。
ところがどうでしょう。小さいころから特定のスポーツばかりをやらせていると、必要な総合力が欠けたまま特定の動きにのみ強い選手になってしまうと思いませんか。
実例を出すと、そのスポーツへの批判とも捉えられかねないのでここでは控えますが、そういう子供を本当によく見かけます。
考えても見ると、いろいろなスポーツには、その種目に固有の運動と、共通的な運動があるのが分かります。
例えばボールを扱うスポーツでも、それを追いかけるには走っていますし、キャッチする際にはバランスを取ります。
特定の動きだけ練習すれば良いのではなく、どちらも鍛える必要があります。
最近ではそのあたりも理解されつつあり、例えば体幹トレーニング等を取り入れている部活やクラブもあります。
ですが、まだまだその実態は発展途上に感じます。
激しい練習で同じ動作ばかりを繰り返していると、負荷は特定の個所に集中しやすいです。
そこへ来て身体の使い方も偏っていることが多ければ、なおさら負荷が一ヶ所に集中しやすく、その結果として腰椎分離症や腰椎椎間板ヘルニアなどを引
き起こしやすくなると考えられます。
つまり大前提として、そのスポーツは得意かもしれないが、そもそもの身体の使い方に見直しが必要かも?
ということです。
どうすれば10代の腰痛を防げるのか
さて、ここまで読んでいただけると、ひとつのことに気が付くはずです。
「マッサージや電気治療、シップや痛み止めは何に効くのだろうか?」
という疑問が出てきませんか?
もちろん上記の治療群は、よく効きます。ただし、それは主に消炎・鎮痛作用としてです。
炎症があればそれを鎮めて、痛みがあればそれを抑える。という意味においては効果的だと思います。
マッサージや電気治療にはさらに血流をよくしたり筋肉をほぐしたりする効果もあると思います。
ただし。
理由の部分にあげた、
- 運動不足
- 偏った身体の使い方をしているために、運動負荷が強くなった時に身体が悲鳴をあげている
に対しての解決策になっているでしょうか?
運動不足の場合には、身体を動かすことがまずは必要です。
まずは外に出て遊ぶ等、日常的に軽い運動をすることを習慣にすると良いと思います。
次に過剰な運動による場合は早期に整形外科を受診します。
腰椎分離症、腰椎椎間板ヘルニア等、スポーツを中止し適切な治療を受けるのか判断しなければなりません。中止するような原因が見つからなかったら、
偏った身体の使い方を是正していきます。
運動しない子は全く運動をせず、運動している子は専門スポーツばかりをたくさんやっている。
なんとなく極端な気がしてなりません。
やみくもにマッサージや電気治療、シップや痛み止めに頼らず、まずは生活習慣からの見直しが大切だと思います。
その辺も含めて指導してくれる先生やコーチ、病院、接骨院等と出会えるといいですね。
まとめ
最近、10歳代にも腰痛が増えていること
運動不足や過剰で偏ったスポーツ動作が引き金になっていると思われること
マッサージや電気治療等の治療は大切だけど、それだけでは不十分と思われること
運動不足ならまずは外で遊ぶ。運動し過ぎなら、専門機関に相談した後に身体の使い方を見直すこと
色々な身体の使い方を遊びながら楽しく学んで、身体的にも人間的にも成長してもらいたいものです。