チェロ演奏中の姿勢が気になるあなたへ
こんな方に読んでもらいたい
- チェロ歴が10年以上である
- チェロ演奏で腱鞘炎になったことがある
- チェロ演奏で疲れやすい。疲れが抜けにくい。
チェロの特徴
チェロは主に西洋音楽で用いられる弦楽器の一つで、弦の数は四本。
ヴァイオリンと似ているが、それより大きく重いため顎に挟んで演奏することは難しく、通常はエンドピンで床に立てた状態で演奏される楽器です。
現代においてはチェロといえばエンドピンで立てて演奏するものを指すのが一般的ですが、古くは両膝の間で挟んで支えることで演奏することが一般的でした。(モダンチェロとバロックチェロ)
モダンチェロとバロックチェロでは弓の形や重さ、持ち方にも差異がありますが、その説明はここでは割愛させていただき、モダンチェロでのお話をします。
チェロですが、およそ全ての楽器にも共通する「その楽器の演奏のために特定の姿勢を取る」という要素が出てきます。
バイオリンならバイオリンのための姿勢、トランペットならトランペットの姿勢・・・等々。
これは言い換えると「不自然な姿勢にもなりうる」
ということでもあります。
チェロ演奏者によく見られる身体の特徴とは
チェロを構える姿勢の特徴の一つに「楽器ー身体ーイス」という順番の配置になっていることがあります。
もう少し別の言い方をすると、楽器とイスの間に身体を置いている、ということになります。
これは、身体を置く位置によって演奏のしやすさが変わるということにつながります。
下の女性チェリストの絵をご覧ください。
先ほどのチェロ演奏者と比べるとどんな印象を受けるでしょうか。
カラーであることや性別の違いはありますが、先ほどよりも実は典型的なチェロ演奏者の身体的特徴が表れています。
陽気に演奏している?
楽しく演奏している?
情熱的な感じがする?
個人的には・・・
「身体・頭部が左に傾いている」
が気になるところです。
あとは正面からの図なので分かりにくいですが、左へ身体がねじれていると思われます。
実はこのような姿勢は、チェロ演奏者にはかなり共通して見られる姿勢でもあります。
左に傾いているとダメなのか?悪い姿勢で演奏するのはいけない事?
実は、チェロ演奏家の典型的な姿勢に「体幹が左に傾く」というのがあります。
また、傾きが長期間に渡っていると、体幹のみならず頭部までもが左に傾いてきます。
あの図の女性チェリストは傾きが頭部にまで波及しているように見られました。
(おそらく高音弦を弾いていて、重心を右に移動しながら大きく右手を動かしているのだとは思いますが、それでもあの頭部の傾きは大きいかなと思います)
では、その姿勢がダメなのか?悪い事なのか?
答えはNOです。
特に写真やイラストの場合、とある一瞬だけを切り取っているので、ある意味ではどのような姿勢の状態でも作ることができてしまいます。
演奏中は身体が大きく動くのが普通ですし、写真を連続で撮っていると時折「あまりもおかしい」ようなものが撮れてしまうことがありますよね。
ですので、上図の姿勢は一概にはダメとは言えません。
ただし・・・
このイラストのチェリストが腰痛持ちだったらどうでしょうか?
もしくは左手のしびれや痛み等の不調を抱えていたら?
もしかしたらひどい肩こり症で、頭痛に悩まされているかもしれません。
これらの場合はどう考えればよいでしょうか。
問題はどこにあるか
上記のような症状で悩まされているかどうかはさておき、左への傾きが常態化していると考えた場合、傾いている側(左)の腹筋・背筋が常に縮んでいるということになりますので、筋肉の弱化や短縮していくことが懸念されます。その場合、遅かれ早かれいろんな症状に悩まされてしまう可能性があります。
問題はここにあります。
楽器の演奏等、特定の姿勢になりやすい背景があり、実際にそのような兆候が見られた際に今は無症状であっても今後は分からない、ということです。
また、症状があったとしてもマッサージや整体等の一時的な治療を受けるだけで根本的な解決を行っていないことがほとんどだと思います。
あくまで音楽表現的な意味で、演奏中の姿勢について言及してくださる音楽の先生はいますが、身体構造的に無理のない姿勢で演奏できているかまでは教えてもらえないことが多いです。(そもそも身体構造は専門外ですしね・・・)
演奏中の姿勢が気になるあなたへ
まずは普段師事している先生に相談してみましょう。
現在症状を抱えているならば姿勢改善の余地はあると思います。
ご自身の姿が映っている写真を見てみて、身体の傾きが普段からでていないか?等をチェックしてるのも良いですね。
もしくはかかりつけの接骨院や整体院へ相談してみると良いかもしれません(ここでマッサージや、ボキッ!みたいな整体やストレッチ等しかしてくれないとしたら、姿勢改善にはあまり向いていない先生かもしれません・・・)。
無理なく演奏することは、良い音につながるだけでなく、より長い演奏家人生に必須だと考えています。
相談する方が身近にいない場合、私が相談に乗ります。
こちらのお問い合わせからご連絡ください。
あたなの演奏家人生が充実しますように。