スポーツのケガ、再発率No,1の正体とは?フィットネスの先進国アメリカでは一日一万人がこのケガに泣いている・・・。

再発率、42%の魔物

ある研究では、スポーツ中に発生した外傷のうち、実に20%がこの関節で発生したと発表しています。

日本人にもなじみ深い、とある関節のケガです。

その関節とは、ずばり足関節(足首)の事なんです。

アメリカでは一日に約一万人が足関節を怪我し、そのうち15%が捻挫(ねんざ)だというから驚きですね。

さらに驚くのが、足のねんざのうち、42%は再発してしまうということです。

なぜ、そんなに再発してしまうのでしょうか?少し考えてみました。

ねんざしたこと、ありますか?

あると答えてくださる方も多くいらっしゃると思います。

そして2回以上ねんざしている方も相当数いるのではないでしょうか。

それらの方に「なぜ何回もねんざしたのですか?」と聞くと、きっとこんな答えが返ってくるはずです。

「クセになっているからね」

と・・・。

さも、慣れっこだし、そんなに騒ぐことないよというような雰囲気すらあります。

実際にクセになりやすいです。ですがそれ以上に、

明らかに足関節捻挫が甘く見られている。という風潮もありますよね。

実際にスポーツ現場でも「ただ足をひねっただけだから大丈夫です」というのを本人も、その周囲の人達も言っていたのを聞いたことがあります。

ちょっと待ってほしい。

そんなに甘く見て大丈夫でしょうか?

足関節捻挫で損傷するじん帯たち。

捻っただけだからという理由で、適切な治療をせずに実は骨折をしていたり。そのままでくっつくので、日常生活を送るだけで痛みが出てくる後遺症に悩まされてしまったり。とても残念です。

ここでは、そんな足のねんざで損傷してしまうじん帯たちの紹介をします。


足関節捻挫で傷める靭帯は大まかに以下の六種類。

  1. 前距腓靭帯(ぜんきょひじんたい)

いわゆる足関節捻挫の花形。だいたい足のねんざといえばこれ。歩いていて「グネった」と聞いたらほぼ確定。外くるぶしが腫れたり痛みが出たりします。

外果下部前縁と距骨体部を連結する厚さ約2mmの靭帯。同時に外くるぶしを骨折することもある。

  1. 踵腓靭帯(しょうひじんたい)

踵骨と外果下部を結ぶ索状の靭帯。激しく内側に捻ると損傷する。たいていは前距腓靭帯と同時に傷める

  1. 前下脛腓靭帯(ぜんかけいひじんたい)

外果前上方にある、脛骨下部前縁と腓骨下部前縁を結ぶ靭帯。傷めると長引きやすい。最初の処置が大切。というか気づくのが大切。

  1. 二分靭帯(にぶじんたい、もしくは にぶんじんたい)

踵骨前方突起から立方骨と舟状骨に分かれる靭帯。これを損傷する時は踵骨前方突起に骨折を起こしている頻度が高い

  1. 三角靭帯(さんかく)

内果から舟状骨、距骨、踵骨に向かって三角に張っている靭帯。外側に捻ると損傷すると思われがちだが、実は内側に激しく捻ると損傷することが多い。

  1. リスフラン靭帯

内側楔状骨背側と第二中足骨基部を連結する靭帯。爪先立ちのまま捻ると損傷する場合がある。手術が必要なことが多い。

ヒールのある靴を履いているあなた。よく「グネって」いませんか?


じん帯の大切な役割に「いろんな骨を良い場所に位置させておく」というのがあります。

なのでこれらの靭帯損傷の結果、

ほぼ確実に、関節不安定性が発生します。

いわゆるねんざ癖ですね。

ヒールのある靴を履いているあなた。よく「グネって」いませんか?

よくよく聞いてみると、学生時代に運動部(しかもねんざをしたことがある)だった方が多いような気がします。

関節不安定性とは(いわゆるねんざ癖)

 構造的不安定性

正常な可動域を越えた可動性を有する関節のこと。捻挫により足関節を支える靭帯等が破壊されると発生する。ゆるくなってしまった関節のこと。

 機能的不安定性

構造的不安定があるかは関係なく、不安定感が残るもの。実は靭帯には関節の位置を確認するセンサーのようなもの(固有受容器)があることがわかっているが、これが破綻することにより足関節の位置がうまく把握できなかったり反応速度が遅くなったりすることで不安定感が生じる。スポーツや日常生活復帰後に困ることが多い。

足が正しく地面に着地していないとまたねんざしてしまいますよね。それを防ぐための足のセンサー(正しい位置にあるかどうかを常に監視している)がうまく働かなくなってしまうという事です。


では、どのように治療するの?

二つの関節不安定性に対して治療することが必要

そうでなければ根本的に治ったとは言えないし、だからこその再発率とも言えます。

まずはケガした直後。ここでは構造的不安定性を悪化させないようにする必要があります

損傷の程度にもよりますが、怪我をしてから約7週間ほどは靭帯や周囲の組織の回復が確認できたとする研究もあり、骨折と同等の固定を行うべきとする説もあります。

なので、ねんざだからと甘く見ずに安静にし、固定をしましょう。

その際は医師もしくは適切な知識を持った医療従事者が、これらの靭帯の損傷程度を把握し適切な治療を施すべきだとは思います。

しかしスポーツ等の現場ではなかなか難しい・・・。

応急処置の基本的なルールを知っておけば、あとは行動するのみですね。

応急処置の心得として有名なRICE(ライス)。最近では末尾にSをつけて「RICES」ライスィズとか、頭にSをつけて「SRICE」(スライス)と呼んだりしています。処置の頭文字を取ったものです。

Rest 休息、安静
Ice
 冷却
Compression
 圧迫
Elevation
 挙上
Specialist
専門家による初期治療


まずはしっかり「ケガ」したことを認めて、安静と固定を行います。

ちなみに、捻挫直後に立てるとか立てないとかは、ねんざがどれくらいひどいかの指標にはなりませんのでご注意を。

痛くてもそんなにねんざの具合が悪くない人もいれば、痛くないけど実はねんざとしてはひどい、ということもあります。

ケガからの本当の回復を目指す

基本的にはギプスやそれに近いもので固定を行うという話はしましたね。

あとはねんざの具合にもよる(痛みの具合というよりも、きちんとレントゲン等で損傷具合を判断したいところ)のですが、

②の機能的不安定性からの回復を目指します。

ここがあいまいなまま練習に復帰したりして、再発を繰り返しちゃうんですよね。

しかもこういうケガに詳しくない接骨院・整骨院の先生にあたってしまうと、マッサージと電気治療だけしてズルズル長引くor再発繰り返してしまう。という悲しい現実もありますが、その話はまたいずれ。

ちなみに固定を続けると、一時的に筋力やバランス力は低下します。その低下具合はある程度予測はできますが、あとはそれぞれのもともとの能力の部分もあるので、どんなリハビリが必要か絶対に正しい事は言えません。ですがそれだと身もふたもないので、一例をお伝えします。

例えば

  • ケガした方の足で片足立ちを行う。ふらふらしないように、身体もまっすぐ。最初は10秒から、徐々に増やす。
  • 慣れてきたらその片足立ちをしながら、キャッチボール等を行う。距離は短めから始める。相手がいない場合はお手玉でも良い。
  • バランスディスク上で両足で立つ。そのまま軽くスクワットをしてみる。
  • バランスディスク上で片足で立つ。
  • バランスディスク上でキャッチボール。

などなど。失われたバランス力にもよるので、最初は適切に診ることができるトレーナーさん等についてもらうのがベストですね。


まとめ

  • 足の捻挫は、甘く見られているが実は大ケガと考えた方が良いこと。
  • 構造的不安定性と機能的不安定性をなるべく軽く済ませるかで、今後が変わっていくこと
  • そのために専門家に適切な指示を仰ぐこと。
  • 回復に向けた治療をしっかりすること。

足の捻挫を繰り返す人生なんて嫌ですよね。ハイヒールだって安全に履きたい。

一人一人の楽しい人生や、子供達が部活動を全力で取り組める環境作りのためにも、正しい知識で身を守りましょう。

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