• このような人に読んでもらいたい
  • 小指、薬指にしびれる感じがする
  • 小指、薬指が動かしにくくなってきた(親指にも出る場合あり)
  • 病院で肘部管症候群と診断されたが、休むしかないと言われた

肘部管症候群とは

肘部管症候群とは、肘周囲にある神経絞扼点(神経の通り道で、狭くなっている所)によって尺骨神経障害を引き起こされている状態のことをいいます。

そのため、尺骨神経が関係している部分に、特有の神経症状が出てきます。

わかりやすいのが、しびれ感です。

手の小指と薬指(正確にはもう少し細かい所をみていきますが複雑なので割愛)のしびれです。

あとは尺骨神経のつかさどっている筋肉に麻痺症状がでてきます。(尺側手根屈筋、小指・薬指の深指屈筋、骨間筋、小指球筋、母指内転筋、第3.4虫様筋)

そのため、手指全体の巧緻動作(細かな手指の動き)ができなくなってきます。

症状が長引くとそれらの筋肉がやせ細り、鷲手という特有の外観になってきます。

ちなみに症候群という名前の通り、原因と症状はたくさんあります。

原因

前述したように、肘周囲にある神経絞扼点によって神経がギュッと締め付けられてしまっているのが原因です。

その絞扼点は5つが知られています。

  1. Struthers arcade
  2. 内側筋間中隔
  3. 上腕骨内側上顆
  4. 肘部管
  5. Osborne’band

いずれも、肘周囲の筋肉の使い過ぎや使い方の問題、生まれ持った(あるいは後天的な)肘周囲の組織の形状等が原因とされています。

治療①

肘関節の屈曲・外反運動の繰り返し(まさにバイオリン弾きの左腕!)が原因の可能性を考慮し、肘・肩・胸郭の使い方をチェックします。

巻き肩になってしまっている方も多く見られるため、まずは巻き肩のチェック、それから演奏時(もしくは症状を強く感じる日常生活動作)にも同様のチェックをします。

巻き肩というのはつまり肩甲骨の位置の悪さでもあるので、肩甲骨を正しい位置に保持しながら動作できるようにトレーニングをしていく必要があります。

併せて上腕三頭筋、尺側手根屈筋等の筋肉のストレッチを行います。

姿勢の改善に向けての部分ですが、ここは楽器奏者・運動選手共に、普段の指導者・コーチが教えてくれる姿勢や動作とは相反する可能性があるため、慎重に治療を進めていく必要があると思います。

治療②

東洋医学的(鍼灸)なアプローチも載せておきます。

別記事(あなたがにはどの鍼灸治療が良さそう?)でもお伝えしたように、鍼灸には流派がたくさんあり、記述はやや難しい所です。

そこで、少しでも分かりやすくするため、

  1. 西洋的(筋肉)なアプローチ
  2. 東洋医学的(いわゆるツボや気の流れ)なアプローチ

について書いていきます。

1.西洋的なアプローチ

これは治療①とほぼ同じ内容になります。

問題となっている肘周囲の絞扼点に関してアプローチをしていきます。

具体的には、前述したような絞扼点を作っている組織へのハリを行うことで、筋肉の緊張を緩和し尺骨神経への影響を治めようというものです。

手で行うマッサージ等やストレッチとは、また少し違った効果の出方をするので、人によっては西洋的な鍼灸の方が良く効くという方もいると思います。

もちろんその逆もありえます。万人に合う方法がないのもつらいところですね。

これはやはり好みの問題(洋食が好きか和食が好きかのような)の部分も大きいので、ご自身に合った治療法にうまく巡り合うのを願っています。

2.東洋医学的なアプローチ

東洋医学にはそもそも「気」という概念があります。

身体を巡っているエネルギーのことですね。

ヨガや瞑想をしている人にとっては割と身近なものかもしれません。

元気があるとか活気があるなどと、割と「気」という言葉は日本人には身近だと思います。

さてそのエネルギーを調整して身体を良くしようというのが東洋医学をざっくり説明したものですが、今回のような肘部管症候群はどうでしょうか。

実は、けっこう守備範囲だったりします。

そもそも気の流れは全身を巡っており、特に肘周囲と関連がある部分だと、首の後ろやいわゆる肩こりの部分、肩甲骨の間、背中といった所があります。

そして、肘部管症候群が出るような人は肩こりや首こり、頭痛等に悩まされているのが多い印象があります。

なので、まずはそのあたりへの治療を行います。

治療方法の細かな点についてはいろいろな流派があり一概には言えませんが、私個人的にはハリの本数が少なく・小さい刺激で治るように心がけています。

難しい場合に、徐々に刺激量を上げていくようなイメージで治療にあたることが多いです。

前述のような科学的で理路整然とした所はないのですが(そもそもの哲学が違うので当然ですが)、それでも良くなる人は良くなる。

人体は不思議ですね。

まとめ

  • 肘部管症候群の原因はある程度明らかになっている。
  • 肘の使い方、身体の使い方に問題があったり、そもそも構造的に問題がある場合も
  • アプローチ方法はたくさんある。西洋医学的・東洋医学的アプローチにはそれぞれの良さがある。

病院で診断されたけども、よくならない。

薬を飲んで安静にする以外に何か方法を探している。

アプローチ方法はたくさんあります。

どんなアプローチ方法にしてに明らかなことがあります。

それは、理なくして結果なしということです。

理屈があって治療にあたっている。これはとても大切なことです。

単に電気治療をしてみるとか、マッサージをしてみるでは難しいと思います。

みなさまの身体が良くなりますように。